JA

COLUMN

COLUMN

【ELECTRIC BIRD】TREASURE ISLAND vol.6

SOUND FUJI 編集部

2024.3.6

日本を代表するジャズ/フュージョン創世記の最重要レーベル「Electric Bird (エレクトリック・バード)」 。“世界に通用するフュージョン・レーベルを!”を掲げて、70年代後半にキングレコードから誕生したレーベルであり、当時、担当プロデューサーの采配により、日本主導で日本、そしてニューヨーク の著名かつ魅力的なアーティストを次々と輩出し、最先端のフュージョン・サウンドで世界をアッと驚かせ、音楽界で「日本にエレクトリック・バードあり」と注目を得たのである。

エレクトリック・バード・プロデューサー(1977年~1989年)Sep. 2022 川島重行コメント

エレクトリック・バードの膨大なカタログからの第3弾は、DJ/クラブカルチャーシーンで高く再評価されている11タイトル。

Yo Kano「Manhattan Island」

トランぺッターであり鍵盤奏者、加納洋の’87年作品。
Electric Birdレーベルの専属ミュージシャンでもある著名アレンジャー/ピアニストのDavid Matthews(長らく日本在住)が自らプロデュースを手掛けた1987年作品。
少年時代に渡米、以降拠点はアメリカとなり今に至っている。AORを再現するかのような甘く色気のあるその歌声が演奏よりも際立っており、佳曲揃いの4曲収録ミニアルバムという体裁が名残惜しさを感じさせる。
折からのシティポップブームの中、同レーベル作品の中でも屈指の都会派サウンドを醸成させている名作。

水原明子 「Love Message」

日本と韓国で歌手活動をしていたジャズヴォーカリスト水原明子の1982年発表された1stアルバム。
グルーヴ感満載の“It’s Never Too Late”、“Bossanova Medley”と後半に聴き進むにつれ、グッと80年代シティサウンド感が昇華する8曲構成の作品。

Richard Tee 「The Bottom Line」

米名門フュージョンバンド”スタッフ”のメンバーとして活躍、マーヴィン・ゲイ、キング・カーティス、アレサ・フランクリン、ロバータ・フラック、デヴィッド・ボウイ、マライア・キャリーなどなどビッグミュージシャン、バンドでのレコーディング参加キャリアは枚挙にいとまがない、早逝の天才ピアニスト、自身3枚目の1985年リーダー作品。作品中ラグジュアリーかつエクスクルーヴな珠玉サウンドが展開される。偉大なピアニストが日本を意識して創ったと思われる”Nippon Lights”がこれまたシンプルな禅フュージョン。

Manhattan Focus 「Manhattan Focus」

増尾好秋、菅野邦彦、鈴木良雄、Tom Harrell、Bob Berg、Al Fosterら、日米の著名ミュージシャンからなるグループ、”Manhattan Focus”が残した唯一の1979年作品。”Hocus Pocus”、”Mixed Roots”、“Para Joe Busco”などキューバン、ブラジリアン、直球ジャズと中南米中心なテリトリーから繰り出される音楽性で幅のある佳曲らで構成されている。

宮間利之とニュー・ハード プレイズ 上田 力 「ビッグ・スタッフ」

プロデューサー、アレンジャー、プレイヤーと多彩な才能で幾多の音源を生み出してきた上田力が全面的に関わった貴重なElectric Birdレーベル1980年作品。昭和お茶の間TV番組テーマのようなエッセンスがスタッフドインされた和ラダイス感が満載。

上田力 ウィズ・ニュー・ハード 「ハードランド」

前作「ビッグ・スタッフ」に続き上田力プロデュース、宮間利之とニュー・ハード演奏の1981年作品。ソウルフル、ファンキー、フリー、フュージョン、ラテンなどのエッセンスが注ぎ込まれ、トラックごとにヴァラエティに富んだ内容。フュージョンというよりむしろTVドラマのアクションシーンなど場面に使用されるような効果音的テーマ感にあふれ、Electric Birdレーベルでは異色であるが、和モノ好みのもっさい感を束ねたような1枚。

益田幹夫 「シルヴァー・シャドウ」

「Corazón」、「Goin’ Away」に続くElectric Birdレーベルでの、天才ジャズピアニスト益田幹夫、1980年の3作目。スピリチュアルでブラジリアンミュージックのルーツを感じさせるバックグラウンドは過去2作と変わらずであるが、”All About You”に代表する今作はリスナーの心にさりげなく訴えかけてくるエモーショナルな作風であり最高傑作とも言い得るクオリティを誇る。シンセを効果的に随所に散りばめてくるあたりエレクトロな時代背景を小気味よく投影して見せている。難病を患われたのち90年代に名作でカムバックされて以降の足取りは不明であるが2024年の今、たとえばBLUE NOTE TOKYOで益田幹夫のライブを観てみたいという気持ちにさせられる、なにか欲望を掻き立てられる8曲37分28秒。早く再評価が望まれる偉大なミュージシャンの1人である。

沢井原兒とベーコンエッグ 「SKIPJACK」

日本人サックス奏者、沢井原兒氏が自身のグループ、ベーコン・エッグを率いて吹き込んだ1981年作品。そのサウンドはテクニカルな演奏が光る躍動するフュージョンサウンドが繰り広げられる全体のムードの中、さざなみをたゆたうような”Morning Breeze”が白眉。ラスト”What Comes Next?”タイトルが窺わせるかのように、このクオリティがマッシュアップされて翌年の次作品でさらに高みに昇華する。

沢井原兒 「Yellow」

日本人サックス奏者による1982年作品。大徳俊幸、岡野等、鳴瀬喜博、横山達治、上原裕、入江宏、永井充男といった当時の日本のジャズ/フュージョン・シーンを支えるミュージシャンが多数参加し、重厚感あるチョッパーバッキバキ!ファンキー・フュージョンを全編に披露した作品。”A Glass Of Soda”、”Jasmin Midnight”、“Anti Be-Bop”といった、カヤックでマングローブをくぐり抜けるようなアイランド感ただようサウンドが全体の緊張感を緩和させたスマートさを感じさせる。

RIGHT STAFF 「RIGHT STAFFⅠ」

精鋭のジャズミュージシャンが結成したバンド”RIGHT STAFF”唯一の1985年作品。
同じレーベルメイトである偉大なミュージシャン増尾好秋を彷彿とさせるブリージングかつセンチメンタルなサウンドが作品を通して奏でられている。テクニカルなミュージシャンたちが敢えてテクニック志向を忍びその情景豊かなサウンドを創りあげているかのような職人技を感じうる。まさにインストゥルメンタルにおけるレアグルーヴの1枚であろう。一方で数曲に参加している女性Vo. Charitoの透明感ある歌声が米シンガーLinda Perhacsを彷彿させる。オリジナルLPはレア盤としても誉高いのも頷ける。これは日本人だけでなくレコードも欲しくなるでしょう。今シリーズ中の裏代表作品かもしれない。

Hang Raiji 「Hang Raiji」

偉大なるジャズドラマーであるジョージ川口の息子、川口雷二(Dr.)率いるバンドの1983年作品。若さがはじけ飛ぶようなハードフュージョン”Crash!”から幕開け。さらに”Terada De Samba”での小気味良いドラミングがサウンド全体の核をなしバランスの良いアンサンブルを形成されており、乾いた米西海岸風サウンドがとても爽快である。敢えてなのかテクニカルな演奏を志向せずやや地味ではあるもののガムランを取り入れた”Drop You Off”で終幕するアンビエント感もあわせもったグッドAORサウンドである。Electric Birdレーベルを象徴するような作品とも云る。

配信作品一覧

Yo Kano「Manhattan Island」
1.A Night In New York
2.See You At Home
3.City Lights, Summer Nights
4.Island Romance
配信URL:https://lnk.to/yokano_mi

水原明子「Love Message1.It’s Too Late」
1.It’s Too Late
2.Love Duet
3.Summertime
4.It’s Never Too Late
5. “Bossanova Medley
The Boy From Ipanema~One Note Samba~Wave~Once I Loved~So Nice~The Boy From Ipanema”
6. You Are The Sunshine Of My Life
7. What’s Going On
8. All In Love Is Fair
配信URL:https://lnk.to/amizuhara_lm

Richard Tee 「The Bottom Line」 
1.If You Want It
2.What Can I Say
3.Bottom Line
4.Nippon Lights
5.Rhapsody In Blue
6.Miss-Understanding
7.Spring Is You
8.No Real Way
9.Moving On
配信URL:https://lnk.to/rtee_tbl

Manhattan Focus「Manhattan Focus」
1.Hocus Pocus
2.O Que Sera
3.To My Lady
4.Mixed Roots
5.Para Joe Busco
6.Amazon
7.Obligado Voce
配信URL:https://lnk.to/mf_mf

宮間利之とニュー・ハード プレイズ 上田 力 「ビッグ・スタッフ」
1.SAMBOOGIE
2.BIG STUFF
3.SUNSET VALLEY
4.MYSTERY CAT
5.WALKING STONE
6.MAS QUERO DANCAR (BUT DANCING)
7.SO FINE
配信URL:https://lnk.to/tmiyama_bs

上田力 ウィズ・ニュー・ハード 「ハードランド」
1.Part 1: Enchant
2.Part 2: Touch
3.Part 3: Power Playay
4.Part 4: Feel Like Makin’
5.Herdland
6.Soul Market
7.Qué Lastima”
8.Don’t Stop The Funk
配信URL:https://lnk.to/cueda_hl

沢井原兒とベーコンエッグ「SKIPJAK」
1.Skipjack
2.Way Out Step
3.Uneasy Night
4.Hand And Foot
5.Ship On The Lip
6.Morning Breeze
7.Green Vestige
8.What Comes Next?
配信URL:https://lnk.to/gsawai_sj

沢井原兒「Yellow」
1.Drink It Up
2.Feeling Yellow
3.A Glass Of Soda
4.Drive To Far East
5.Funk Junk
6.Jasmin Midnight
7.Chaser
8.Anti Be-Bop
配信URL:https://lnk.to/gsawai_yellow

RIGHT STAFF「RIGHT STAFFⅠ」
1.North Sea Road
2.Shinatick
3.Wind Dance
4.Sarasvati
5.Endless Summer Night
6.Flamingo Street
7.Moonlight Story
8.Mild Stuff
9.Sunset In Cloud
配信URL:https://lnk.to/rs_rs1

Hang Raiji「Hang Raiji」
1.Crash!
2.Dance
3.Seagull
4.Terada De Samba
5.Credit Man
6.Base Camp
7.Night Flight
8.Drop You Off
配信URL:https://lnk.to/hr_hr

【ELECTRIC BIRD (エレクトリック・バード)第3弾プレイリスト
https://lnk.to/eb_pl_citymusic

ARTIST

  • 清水信之

    NOBUYUKI SHIMIZU

  • PIC

    PIC

  • スピニッヂ・パワー

    SPINACH POWER

  • アフリカ

    AFRIKA

  • 楠木恭介

    KYOSUKE KUSUNOKI

  • The Milky Way

    THE MILKY WAY

  • 槇岡婦喜子

    FUKIKO MAKIOKA

  • マウンティン・チューン

    MOUNTAIN TUNE

  • PINK TANK

    PINK TANK

  • 5TH AVENUE

    5TH AVENUE

  • SARAH(沙羅)

    SARAH

  • EARTHLING

    EARTHLING

  • 如月小春

    KOHARU KISARAGI

  • 坂井紀雄

    NORIO SAKAI

  • KARAK

    KARAK

BACK TO LIST